DIYで3Dプリンターのフィラメントを繋ぎたい!【自作フィラメント溶接器は優れもの】

自作フィラメント溶接器 3Dプリンターを使ってみよう

3Dプリンターのフィラメントを繋ぐための「フィラメント溶接器」を自作しました。
ちょっとコツがいりますが、実用レベルで使えるので紹介します。

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3Dプリンターのあるある

3Dプリンターでいくつかアイテムをプリントすると、フィラメントが残り僅かに‥

これだけの量で、何ができる?

リールに少しだけ残った3Dプリンターのフィラメント

次にプリントしようとするモデルのフィラメントの使用量は、スライサーの表示で何g、何mというのが事前にわかりますが、リールに残ったフィラメントの方は、量が正確にはわかりません。

残量に不安を感じて、結局は新しいフィラメントを使うことが多いです。

少ない残量なりの小物ならプリントできるので、捨てはしませんが、大きなリールは置き場に困りますね。

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フィラメントの接続にチャレンジ

フィラメント同士を繋ぐことができれば、エンドレスでプリントできるのですが…

フィラメントを繋ぐのは簡単、熱して融着させればいいです。

とは言え‥

実際には、直径1.75mm、誤差±0.02mmを謳うフィラメントを、シームレスな状態に繋ぐのは至難の技。
それなりの治具がないと無理です。

使えなかった市販のフィラメント溶接器

アマゾンで探してみると「フィラメント溶接器」や「フィラメントコネクター」といったアイテムがありました。

1000円もしない安価な製品で、レビューは購入をためらうレベルでしたが、一応、それを試してみることに。

アマゾンで購入したフィラメント溶接器

使い方は、フィラメント同士を、中央の穴のところから火で炙って繋ぎます。

市販のフィラメント溶接器の使い方

融けた先端をすばやくくっつけ、固まる前に横の樹脂の方に押し込んで成型するという使い方のようです。

うーん、難しい…

樹脂は、温度で固さが急激に変化するので、炙り加減や成型するタイミングは非常に難しいです。
きれいに繋げないと、成型時にできるバリを切り取ったり、ヤスリで削ったりという加工が必要になります。
せっかく買ったので何度かトライしましたが、うまくできなくて、お払い箱にしてしまいました。

でもまあ、治具としてのネックがどこかは理解できたわけで、ムダにはなりませんでしたけど。

使えるフィラメント溶接器を自作する

使えるフィラメント溶接器のポイント

フィラメントを加熱して繋ぎ、1.75mm径の線状に成型するにはどうすればよいか‥

ネットで探してみると、PTFEチューブ(商標名;テフロンチューブ)の中でフィラメントを繋ぐ方法が紹介されていました。

チューブの中で繋げば、元の形は保たれますね。
テフロンチューブの耐熱温度は250℃位なので、PLAやPETGなら、その範囲内で十分融着させられます。

この方式を参考に自作してみたのですが、完成に至るまでに、もう一つの工夫が必要でした。

自作フィラメント溶接器の使い方

もう一つの工夫を含めて、これが完成したフィラメント溶接器。
使いやすそうな形にモデリングし、3Dプリントしました。

3Dプリンターで自作したフィラメント溶接器

3Dプリントした溶接器本体と曲がり矯正用のクランプのセットです。

使い方は動画をご覧ください。

もう一つの工夫

フィラメント溶接器の要となるのはテフロンチューブです。

内径1.8mmのチューブですから、1.75mmのフィラメントにはぴったりと思っていましたが、実は、チューブのみではうまくいきませんでした。

熱によってチューブも柔らかくなるようで、樹脂の圧力で接合した部分が膨らんでしまい、太くなったフィラメントがチューブから抜けなくなってしまうのです。 

もう一工夫必要だったのはこの点で、チューブにバネを被せることで膨らむのを防止しています。
バネの内径は2.6mmで、チューブの外径と同じです。

フィラメント溶接器の要部分の拡大画像。
スプリングを被せたテフロンチューブ

フィラメント溶接の出来栄え

このフィラメント溶接器で繋いだ部分は、前後の径が少し太くなっています。

自作フィラメント溶接器で繋いだフィラメントの画像。
太さも変わらずシームレス。

ノギスで測ってみると1.90mm

フィラメントの接続部分の太さを計測。ノギスの目盛は1.90mmを表示。

チューブの内径は1.8mmですが、熱せられた状態で内圧がかかるとどうしても膨らむようです。

多少太くても、シームレスな状態ですし、私の3Dプリンター(Crearity K1C)では全く問題なく使えています。

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まとめ

この記事で紹介したフィラメント溶接器は、ライターの炎で加熱し、勘を頼りに作業する超アナログ方式。熱する時間や形を整えるタイミングは、何度か失敗しないとわかりません。

繋いだところに少し曲げの力を加えてみて、ポキッと折れたら過熱不足、折れなければ成功です。

ある程度の練習は必須ですが、経験上、10回もやればコツが掴めるでしょう。