冬場は、住まいの結露が気になる季節です。
お家のリフォームをする前、単板ガラスの窓は、毎日結露の水をふき取る手間が大変でした。
放っておくと、サッシの縁が黒カビだらけ、なんてことになりますから。
複層ガラスに替えてからはかなり改善されたのですが、浴室だけは無理でした。
ガラス面の結露はともかく、アルミサッシ部分は水滴がびっしりついて垂れてきます。
厄介な結露を抑えようと内窓を取り付けてみたところ、これが大正解♪。
DIYでき、安くて簡単、効果的な内窓の取り付け方を紹介します。
内窓は結露対策に効果的
結露の仕組み
効果的な対策をするには、結露の仕組みを知る必要がありますね。
まずは、かつて習った理科の知識で、結露の仕組みをおさらいしてみます。
空気は、温度が高いほど、たくさんの水蒸気を含むことができます。
例えば、1㎥の空気は、温度が20℃のときは水蒸気を17.3gまで含むことができますが、5℃だと6.8gまでしか含むことができません。
水蒸気を含む空気の温度が下がると、やがて飽和状態になり、水蒸気は水に戻ります。
蒸し暑い夏場、冷たい飲み物をテーブルの上に置いておくと、周りが水浸しになりますね。
ガラスコップの周りの空気は冷やされ、コップ表面で水蒸気が飽和して結露します。
冷たく重い空気は下に流れていき、新たな空気が回り込んで対流することで結露が連続し、コップの周りが水浸しになる、というわけです。
浴室窓の表面も同じことが起きています。
冷気に晒されたガラス面に、高温多湿の空気が対流して接触するため、結露が進んで水浸しになるのです。
お風呂の窓の結露対策
結露の仕組みから考えると、浴室の空気が窓際で冷やされなければいいわけですね。
でも完全な断熱は無理ですから、断熱効果の高い方法で、できるだけ結露の進行を遅らせるというのが現実的でしょう。
家族が入浴し終わる時点で、垂れ落ちないくらいの微小な水滴ですめば、大成功。
そうすれば換気で十分乾燥させることができ、拭く手間がかかりません。
というわけで、断熱効果の高そうな「簡易内窓」に目を付けました。
製品のパンフレットにこんな説明があります。
7.5℃改善‼
ダブルのビックリマークが自信ありげな感じ‥
正直、ピンときませんが、費用を掛けずDIYできるところがいいです。
これに決めました。
内窓の効果
購入する前に、一応、簡易内窓の効果を自分なりに考えてみました。
内窓なんて、屋上屋を重ねるのと一緒じゃない?
なんて誤解する人もいるかもしれませんが、それは違います。
むしろ、1+1=3の相乗効果が期待できるでしょう。
まず、①樹脂製の枠と中空パネルでできた内窓は、当然、断熱効果が期待できます。
あと、②複層ガラスにリフォームした外窓も断熱効果があります(わが家の場合)。
そして③相乗効果というのは、
外窓と内窓の間が、断熱空気層になることです。
本来、空気は熱を伝えにくいのですが、温度差があると対流が起き、熱が運ばれて伝わりやすくなります。しかし、幅が数cmしかない空気層は対流しにくいため、空気の断熱性が活かされるのです。
また、隙間から空気層に流入する浴室の空気は僅かなため、外窓内面の結露が抑えられます。
さて、このトリプル断熱効果、期待どおりだといいのですが‥
簡易内窓の取り付け
簡易内窓を取り付けるには、既存の窓枠に30mm以上の奥行があることや、クレセント錠の開閉が可能かどうかを確認することが必要です。
わが家の浴室窓は、奥行き10数cmで大丈夫。
作業としては、樹脂枠をカットしてポリカのプラダンをはめ込むだけなので、比較的簡単なDIYです。
これが簡易内窓の小窓用セットで、価格は3,100円ほど。
ポリカのプラダンは、2,000円で別途購入しました。
ポリカのプラダンは、ポリカーボネートのシートを段ボールのような構造に成形した中空パネルです。
「ツインカーボ」、「ポリカ中空ボード」などとも呼ばれます。
強くて断熱効果に優れ、 軽量で容易に加工できるため、簡易内窓にぴったりの材料です。
組み立て前の準備
組み立て作業に必要な道具類は、説明書に載っています。
この中で、④の両面テープは必須の材料ですが、キットに同梱されていないので、予め用意しておく必要があります。
作業の中で最も大事なのは、部材を正しい寸法でカットすることです。
スキマだらけの内窓だと、効果が期待できませんから‥
最初の作業は、浴室窓の内寸の測定。
レールなど各部材の寸法は、測定した数値から計算式で簡単に算出できるようになっています。
説明書の表の空欄に各部材の寸法を書き込めば、専用の組立説明書のでき上がり。
準備ができたら、楽しいDIY ♪
カバー・レールのカット
窓の枠になる部材。
左から、上・下レール、横カバー。
樹脂の枠は、木工用の鋸で問題なくカットできました。
ソーガイドのおかげで、切り口は直角です。
横カバー・レールの取り付け
空気は対流するので、外窓と内窓の間隔が断熱効果に影響します。
外窓から7cmの位置に内窓のレールを取り付けることにしました。
間隔がこの程度なら、間の空気層は対流を起こしにくいですし、また、カギの開閉にも支障がありません。
外窓のガラスから7cm、浴室の壁側から赤い矢印の距離に横カバーを取り付けます。
横カバー位置決め用に、スチロール板をカットしたガイドを貼り付けておきました。
(因みに、黒いスチロール板は、折り詰め弁当の枠だったような‥)
横カバーとレールに両面テープを貼り付け。
はがせるテープなら、賃貸住宅でも気にせず設置できそうですね。
横カバーを貼り付ける際は、貼り付けておいたガイドに当てるだけ、簡単です。
上下レールを横カバーに合わせて貼り付け、完成。
内窓パネルの加工と組み立て
次は、窓のパネルを組み立てます。
パネルフレームの断面はこうなっています。
4mm厚のポリカプラダンは、カッターナイフで一気にカットするのは無理。
定規を当てたまま、何度かなぞって切りました。
パネルフレームの溝にプラダンを差し込むので、端から2cmほど保護フィルムを切り取っておきます。
縦のフレームの次に横のフレーム、という順ではめ込みます。
少し固いので、押し込んだり叩いたり、という感じです。
窓パネルが完成。
パネルをレールにはめるのは、ワクワクする瞬間ですね ♪
内窓完成! さて、効果は‥
なかなかいい仕上がりです。
鍵の開閉も問題なし。
さて、実際の効果はどうなんでしょう‥
入浴後、内窓の表面はこんな感じになりました。
水滴の大きさがわかるよう、画像を加工しています。
中空ポリカ内部の仕切りの間隔は約6mm。
結露した水滴の大きさは十分小さいので、拭き取るまでもなく換気扇で十分乾きます。
樹脂の枠には、ほとんど結露していません。
ただ、結露の進み具合というのは、外気温や入浴の仕方などによって変わるものです。
参考までに、この時の条件は‥
外気温 3℃。
40℃でお湯を汲み、大人2人が途中でシャワーも使いながら、連続して入浴。
入浴時間は、1時間15分ほどでした。
もし、入浴人数が増えたり寒波襲来などで、過酷な条件になったら‥
そんな時は、お湯入りペットボトルを外窓と内窓の間に置くという裏ワザを試してみようと思います。
これからは、拭き取る手間にさようなら‥
内窓、早く取り付ければよかったー ♪
終わりに、使って便利だった道具を紹介。
ソーガイド・ミニ
樹脂のフレームをカットするとき、フリーハンドだと切り口が微妙に斜めになってしまいますが、これがあれば、気持ちよく直角にカットできます。
鋸は木工用ですが、目が細かいので樹脂でも簡単に切れました。
付属のアタッチメントを使えば、45度カットも簡単。
この製品は販売終了品ですが、「ソーガイド ベスト」という後継品が出ています。