センターキャップがつぶれたスピーカー。
リサイクルショップや、小さな子どものいる家庭でよく見かけますね。
押されてへこんだものは、引っ張れば直る‥
単純な理屈を信じて、ゆるく楽しくDIYしてみました。
つんつんしたいセンターキャップ
このスピーカーは、エンクロージャーがFOSTEXの P800-E。
スピーカーユニット はFE83NVです。
長男宅の壁掛けテレビの両脇にあって、ネットテレビのコンテンツをいい音で聴かせてくれます。
ある時‥
気がついたらこんなことになっていました。
誰の仕業か、すぐわかります。
目いっぱいのつま先立ちで、テーブルの上を覗くちびっこギャング。
好奇心の塊っていう感じ‥
囚人服がよく似合ってるね‥
こんなこともあるかと、普段は手が届かない場所に置いていたそうですが、
ちょっとの油断でした。
わが子を責めたところでブーメラン、子育て中のあるある‥ですね。
しかし、よくよく見ると、センターキャップは格好の餌食に違いない。
いかにも「どうぞ押してみてください」という形。
大人でもつんつんしてみたい衝動にかられます‥
そこで湧いてくるのは、なぜこんな形をしているのか‥という素朴なギモン。
最後まで読んでいただいたら、答えがわかるかもしれません。
へこみを直す2つの方法
センターキャップがへこんだら、何が困るかというと‥
音への影響は、おそらく常人の耳では聞き分けられないでしょう。
一番の問題は、見た目が悪いことです。
もともとスピーカー内蔵テレビなのに、わざわざ外付けにしているのは、音質もさることながら、見映えの要素も大きいです。
見るたびに 心までへこんで、
いっそ もう片方もへこましてやろうか‥
なんて、やけくそな気分になるのだとか。
がっかりする気持ちもわかります‥
本来の姿に戻すには、センターキャップを交換するか、へこんだところを修復するか、ですね。
DIY用のセンターキャップは販売されていますが、ブラックのものがほとんどで、ホワイトはなかなか見当たりません。
そうなると破れてないのが幸い、へこみが新しいうちになんとか復元させましょう。
このへこみを元に戻す方法を2つ思いつきました。
① 粘着法‥テープの粘着力でへこみを戻す。
② 吸引法‥掃除機の吸引力でへこみを戻す。
なんだか難しい実験をするみたい。
まずは粘着法で‥
コーンはケナフという植物が素材の紙ですが、何かコーティングされているのか、粘着テープがあまりくっつきませんでした。
もっと強力な粘着テープを用意するか‥
しかし、テープを押し付けるとき、さらにへこみがひどくなりそうですし、強い粘着剤が表面を傷めるかもしれません。
ということで、この方法はボツにしました。
では吸引法でやってみよう
空気の力で均一に吸引すれば、きれいな形に戻りそうな気がします。
繊細なスピーカー相手に掃除機の吸引力は少し手荒い気がするので、できるだけ慎重に作業することにします。
センターキャップのサイズはペットボトルの口径とほぼ同じ。
ペットボトルをカットして掃除機のホースにつなげるようにしました。
透明な荷造りテープでぐるぐる巻き。
コーンと掃除機の吸い込み口をピタリと接触させ、しっかり固定したらスイッチ「弱」でONします。
小さくて繊細なコーンに対して、ブォォーッという音は実に凶悪。
センターキャップがすっぽり抜けたら困るな‥
実際のところ、
全くの杞憂でした。
何の変化もないので、続けて「強」スイッチをON。
すると、僅かに戻りかけてきたような‥
でも、もはや吸引力は限界なので、このままでは手詰まりです。
そうだ、紙のコーンだし濡らせば柔らかくなるかも‥
素材への影響はわかりませんが、お試しの価値あり。
筆に水を含ませ、センターキャップに塗りました。
さあ吸引。
おおー
柔らかくなったのか、少し戻っています。
さらに攻めなくちゃ!
よしよし‥
やったぞー
へこみ直しは一気にとはいきませんでしたが、「塗って吸って‥」を3回ほど繰り返したところで、ここまで戻りました。
もはや元どおりといっていいくらい ♪
吸引+ひと工夫で、大成功でした。
実のところ、掃除機はいろいろ試しました。
キャニスター型を使う前に、ハンディタイプとスティックタイプでやってみましたが、非力でダメでした。
コーンの固さやセンターキャップの大きさで必要な吸引力は違いますが、なるべく強力な掃除機が使えるといいですね。
吸引力を弱める方の調整は簡単ですから。
センターキャップの謎
今回、うまく解決できたのですが、そもそものギモンを引きずっています。
「なぜ、センターキャップはつんつんしたくなる形なのか‥」
いろいろ調べてみたところ、ざっとこんなところかなと思います。
コーンのまん中から高音を拡散
スピーカーというもの、音楽にあわせて振動板(コーン)が前後に揺れる様子は、見た目でもわかります。
その仕組みは、コーンの中央部分のウラ側に接合されたボイスコイルが、音楽信号に合わせて磁力で前後に振動し、コーンを揺らしているわけです。
ただ、目に見えるのはかなり低音の振動で、中・高音は振動が速すぎて目に留まりません。
さらに、高音だと目に留まらないどころか、振動が速すぎて軽くて硬いコーンでも一体としてついていけなくなるようです。
音楽を再生しているときのコーンの動き、実は、比較的低い音域はコーン全体で、そして一定以上の音域はコーンの中心側半分で、さらに高いところでは中心の1/4、1/8とコーンが分割振動して音を発しているのだそうです。
分割振動では音に歪みが生じるので、高音域ではボイスコイルの振動が正確に伝わるコーン中央付近からの音を大事にする必要があるわけですね。
今回、修理したフルレンジのスピーカーユニットは、分割振動もうまく活用して、ひとつのコーンで高音から低音まで幅広い音域をカバーするように作られています。
音の特性として、高音は音が拡がりにくく、部屋のどこにいてもバランス良く聞こえるためには、中心部から出る高音を拡散させないといけません。
その目的を叶える振動板の形というと、感覚的には、凹型や-型より凸型が適している気がしますね。
ということで、センターキャップはあの形なのでしょう。
謎の半分
謎が半分解けました。
では、あの形、なぜつんつんしたくなるのか‥
これは想像なんですが、
誰もが幼い頃にあきらめたお母さんの〇〇。
いくつになっても恋しいのでしょう、きっと。
そうだとすると、
ちびっこギャングの気持ちもわかる‥
わかるけど、
もう つんつんはダメだからね 😩