新型コロナ対策と3Dプリンター
以前、新型コロナ騒ぎが始まった頃、フェイスシールドのフレームを3Dプリンターで作り、その3Dデータを無償配布しているというニュースがありました。
テレビをぼんやり見ながら、
「そうか、3Dプリンターって、アイデア次第で使える場面はいくらでもあるなー
できないモノ以外はなんでもできるしね。」
「逆に言うと、できるモノ以外はなんにもできない‥???」
などとつまらないことを考えていたのですが‥
コロナ関連で、ふと思いついたことがあったので、3Dプリンターの活用にチャレンジしました。
実用パーツをDIY
サーモカメラをガードする
人が集まる施設では、新型コロナの感染防止に頭を悩ませていました。
私の職場でも、多くの来客があるときに使おうと、「SenseThunder(センスサンダー)」という検温デバイスを購入しました。
センスサンダーは、マスク姿でも、サーモカメラに一瞬顔を向けるだけで体温が測れるという優れものです。
専用スタンドにセットすると1.5mくらいの高さになりますが、床置きベースが小さめなので、若干の不安がありました。
転倒時に守ってくれるガードがあれば安心‥
30万円以上もする機器なので、壊れたら被害は甚大ですからね。
業務のサポートのつもりで、ガード用のパーツを作ってみました。
検温装置が入口でガード、それをガードするモノは‥‥ガードのガード??
モデリングはシンプルに
「ガード」に求められるのは、
・どの方向に倒れても本体をしっかり保護。
・衝撃を吸収し易い素材と構造。
・初心者レベルでできる単純な形。
そうすると‥
360° をガードできる「リング状」。
ウレタン素材を使い、弾力を活かせる構造。
という想定で、Fusion360でモデリングしてみたのがこれです。
真ん中の穴をポールに通して取り付けます。
ベビーカーの車輪みたいな形ですね。
衝撃を吸収しやすいよう、リング部分はタイヤのような中空構造に。
スポーク部分はカーブさせて柔軟にしなるようにしました。
素材は柔らかいポリウレタンフィラメントを使うつもりです。
モデリングの過程をアニメーションにするとこんな感じ。
私のプリンター「ANYCUBIC MEGA-S」が造形できる最大寸法は、タテ、ヨコ21㎝、高さ20.5㎝です。
高さは十分ですが、リング状の形にすると直径21㎝が限界ということ。もう少し大きいといいのですが、とりあえず目いっぱいの大きさで作ることにしました。
この大きさと形で、スライサーソフトが計算したプリント時間は 16時間50分。
さすがに長い。プリントをスタートさせたら放っておくしかないな‥
健気に働く 3Dプリンター
ウレタン素材の柔らかいTPUフィラメントをセットして、
あとは ANYCUBIC MEGA-S くんにおまかせです。
リングの部分は、タイヤのような中空構造。
3Dプリンターくんは、夜中も けなげに仕事してくれました。
約17時間後、「ふぅー‥(プリンターくんのため息)」
健気に働いてくれました。
「どれどれ、おー、できてる。」
これがプリントできる限界のサイズ。
意図したものは完成したけど‥
職場に持ち込んで、取り付けました。
いいじゃないの‥守ってくれそう。
機器の重量に対して、素材と構造によるクッション性のバランスは良さそうです。
「これくらいなもんだろう」と適当な感覚で作りましたが、およそ意図したものはできました。
でも、倒れたときに、本当に役に立つのか‥?
怖くて、試せませんでした‥
そのうち、一度も倒れないまま感染対策終了‥
幸か不幸かというより、なんだか残念です。
「ANYCUBIC MEGA-S」の後継機 Anycubic Kobra 2 Neo