スピーカーのエッジは、いつのまにか劣化してボロボロになってしまいます。
スピーカーユニットごと交換するしかないかと、あきらめている方も多いと思いますが、スピーカーのエッジは自分で交換できます。
この記事では、JBLスピーカー 「Control1」の劣化したウレタンエッジを同等品に交換する方法を紹介します。
2ページ目は、ケンウッド LS-X9 のラバーエッジの例です。
エッジの交換は、機種にかかわらず同様な方法で可能だと思いますので、参考になれば幸いです。
きっかけは うー公の奴
30年程前、レンタルビデオが全盛で、ホームシアターに憧れて購入したスピーカー。
AVアンプからいい音を聴かせてくれました。
最近では、聴力の老化現象で蚊の羽音なんかが聞こえにくくなったことや、テレビの音質が良くなったこともあって、しばらく音を出していませんでした。
ところが、「ちょっと悲しい出来事」をきっかけにスピーカーのメンテをすることになり、グリルを外してみたらこんな風になっていました。
JBL Control1 。エッジが崩れそう‥
Kenwood LS-X9。
こちらはエッジが白っぽく変色して、弾力が失われています。
ところで、きっかけになった「ちょっと悲しい出来事」って‥
実は、オーディオセット裏のコード類を、ペットのシロちゃん(うさぎ)に噛み切られたのです。
奥さんがうっかりケージの扉ロックをし忘れた翌朝。
あれ、扉が開いてるぞ? なんだか夜中に はしゃぎまわったような痕跡が‥
この憎たらしいうー公の奴、よほどスピーカーコードの噛み心地が良かったのか、何本ものコードを噛み傷だらけにしたのに、ケージの中で知らん顔してました。
スピーカーからちゃんと音が出るかどうか確認しつつ、傷んだところを切り取ってハンダで繋いだりして、こちらの修理も大変でした‥‥とほほ。
余談はさて置き、Control 1のウレタンエッジは10数年前にもボロボロになり、この時はスピーカーユニットごと交換しました。
当時はエッジの修理という知恵も発想もなかったものですから。
確か1個5千円だったような…もったいないですね。
その後、LS-X9のスーパーウーファーのウレタン製エッジも同様な状態になり、何とか直せないかとネットで調べてみたら、DIY用にエッジが販売されていました。
自分で張り替えれば、大体千円から2千円で修理ができてしまいます。
これこれ とばかりに、ウーファーユニットのエッジ交換にチャレンジ。安上がりに修理ができました。
今回、うー公のイタズラを機に、Control 1を4本とLS-X9を2本、計6本のスピーカーのエッジを全て交換することにしたんですが、今では耳の鼓膜のエッジもボロボロなのか‥聴覚も衰え気味で、今更高音質を取り戻してもどうかな、とは思います‥
でも、楽しいDIYができますからね。
今回のエッジも、前にスーパーウーファーのエッジを購入したときと同じ、ファンテック(株)(北海道石狩市)から購入しました。
エッジの寸法のわかりやすい説明があり、スピーカーの対応機種名が示してあったりで、ピッタリのエッジが探しやすいです。あと、接着剤をセットで購入すると、張り替え説明書が付いてきます。
気になる費用はこれくらい。
アマゾンでも数多くエッジが出品されているので、もし、サイズが合うものを見つけることができれば買えますね。
JBL Control 1 のエッジ交換
ウレタンの宿命
Control 1 はウレタン製。
エッジに限らず、ウレタン素材は年数が経つと加水分解を起こして劣化する宿命にあります。
湿気や酸・アルカリ、バクテリアなどが影響するようなので、ユーザーレベルでは対処しようもなく、劣化したエッジは張り替えるしかないですね。
スピーカーユニットの取り外し
さて、エッジの張り替えに取り掛かります‥
作業に必要な道具は、ドライバー、彫刻刀、カッターナイフ、接着剤、筆などです。
まずは、ネジ類を取り去って解体。
道具は六角レンチとドライバーだけなので簡単です。
エッジぼろぼろのスピーカーユニット。
交換用の新しいウレタンエッジ。
ガスケット一体型に成形してあるので、貼る手間が少なくて済みます。
ファンテックで購入するときに、オプションの「ラバーコート」をしてもらいました。
ウレタンの加水分解を抑制して、耐久性がアップするそうです。
色もダークグレーになって、若干の光沢があります。
ウレタンのカスが ねばねば
エッジのロール部分は、ぼろぼろ崩れて簡単にとれます。
コーンの縁の部分に残ったカスは、カッターナイフや彫刻刀などを使って、コーンを削ってしまわないよう慎重に取り除きます。
ガスケット部分は接着されているので、彫刻刀を使って削り取ります。
コーンの裏側に残っているウレタンを、彫刻刀の首の部分などでこさぎ取りますが、
カスがネバネバと彫刻刀にこびりつくので、アルコールで拭き取りながら根気よくやらないといけません。
ロール部分はボロボロでも粘ったりしないのに、コーン裏側に張り付いたところがネバネバなのはどうしてでしょうかね。
ほぼ、きれいに取れました。
ガスケットを取り去った金属面は、アルコールで拭いて、できるだけきれいにします。
エッジ張りの作業はアナログっぽい?
交換用のエッジと一緒に購入した水性の接着剤。
木工用ボンドとよく似ていますが、専用品なら安心と思って購入しました。
固まる速さは結構大事で、早すぎても遅すぎても作業がやりにくいものです。これは適度な乾燥時間で、使い勝手の良いものでした。
コーンの裏側から、筆で少し広めに塗っていきます。
フレームが邪魔ですが、横から下から、ムラなく丁寧に。
エッジの方にも接着剤を塗ります。ロール部分に付かないよう注意して。
少し多めに塗れば、乾燥時間が長くなって、調整が必要な場合にズラしやすいです。
初めてで、慣れないうちはそうした方がいいでしょう。
あまり多いと、接着剤がはみ出して周辺を汚しやすくなるので、程度もんですけど。
コーンの裏にエッジをはめ込んでいきます。
接着剤を塗る前に、エッジをコーンに仮組みして確認しておいたので、スムーズにできました。
白い接着剤は、はみ出しが気になりますが、乾けば透明になるので大丈夫です。
コーンの表側に接着剤が付かないよう、慎重に作業します。
コーンをつんつん押して、ボイスコイルがユニットの中で擦れないように確かめながら、コーンが中央にくるように位置を整えます。最終的にはガスケットを接着するときにセンター出しをするので、ここでは、見た目、真ん中にくるようにします。
コーンの裏側の貼り合わせ部分は、浮きがないようによく押さえて馴染ませます。
真新しいエッジは弾力があって、指で触るとぷにょぷにょですね。
ガスケット部分を糊付けします。
コーンをつんつん押しながら擦れがないようにセンター出しをして、最終的な位置を整えます。
コーンとエッジの境目に糊を塗って段差を埋めたら‥完璧かな。
エッジを張り替える時の微妙なセンター出しなんか、ネジで組み上げられる機械ものの修理と比べると、何ともアナログ的ですね。
×4で完成!
キャビネットに組み込んで‥
この作業を4回繰り返して‥ すべて完成!
「これ見てん、新品みたいになったよ ♪」
「あー そうね‥‥」
うー公の奴に居間を開放するという、奥さん痛恨のミスが今回のネガティブなDIYのきっかけだったというのに‥
ナマ返事だと脱力するなー
気を取り直して、ケンウッド LS-X9 のラバーエッジを交換。
詳しくは次のページで紹介します。
ところで、ちょっと横道にそれるのですが、エッジの破れのほかによくあるコーンのまん中のへこみ。
掃除機で吸ったら直りました ↓↓